あなたのチームは本当にアジャイルですか?絶対に聞いておきたい6つの質問!
- Masha Ostroumova, Enterprise Agile Coach
- 2023年9月9日
- 読了時間: 6分

アジャイルの世界では、状況やチームに応じた「正解」は一つではありません。アジャイルは元々ソフトウェア開発のために生まれたものですが、今では様々な業界や分野に広がり、それぞれが独自のツールやアプローチを取り入れています。
ただし、「アジャイルであること」を目標とするのではなく、常にビジネス価値を提供することを目指すべきです。アジャイルはそのための手段に過ぎません。チームがどれだけアジャイルの原則に沿っているかを理解することで、改善の余地を見つけ、効率を高めることができます。
この記事では、チームがどれだけアジャイルであるか、そしてどの部分で調整が必要かを理解するための6つの重要な質問を共有します。さっそく、自分たちのチームをアジャイルチェックしてみましょう!
すべての意思決定が顧客価値を念頭に置いて行われていますか?
アジャイルの基本は顧客中心主義です。もしチームが、会社のリーダーシップの指示や競合他社の真似を基に行動していて、顧客のニーズや課題を真に理解していないのであれば、アジャイルの本質を見逃していると言えます。
直接顧客と対話することが常に可能であるとは限りません。場合によっては、顧客が同じ組織内の別の部門や他社の人々であることもあります。それでも、チームは常に「私たちは、私たちが支える人々を理解し、彼らが必要とするものを確実に提供するために最善を尽くしているか?」と自問するべきです。
顧客視点を象徴するシンボルをチーム内で使うことも非常に効果的です。例えば、求人情報サイトIndeedでは「求職者の椅子」と呼ばれるオレンジ色の椅子を会議室に設置していました。この椅子はターゲット顧客である「求職者」を象徴しており、機能や意思決定について議論する際に、「この機能は求職者にとって価値があるのか?」と常に自問していました。
完全なプロダクト所有権を持っていますか?
チームがプロダクトビジョンを定義し、目標を設定し、優先順位を決める能力を持っていることが重要です。ここで言う「プロダクト」とは、物理的な製品、サービス、機能、またはプロセスなどを指します。
もし意思決定がマネージャーやステークホルダー、あるいは顧客に完全に委ねられているのであれば、そのチームは本当にアジャイルであるとは言えません。これは、アジャイルの中心である顧客価値の提供から逸れてしまう可能性があります。
プロダクトオーナーという役割が形式的に存在するだけでは十分ではありません。 実際に誰がプロダクトに関する意思決定を行っているのかが重要です。役職や肩書きよりも、プロセスが重要なのです。
プロダクトをエンドツーエンドで支えられますか?
「プロダクト」の定義はチームごとに異なります。それが特定の機能であれ、マーケティング戦略であれ、重要なのは、チームがその全体を担当しているかどうかです。デザインやコーディングなど、特定の機能のみに責任を負っている場合、それはエンドツーエンドのサポートとは言えません。
プロダクトの成功や失敗の責任が複数のチーム間で分散されると、所有意識が薄れ、生産性やチームダイナミクスに悪影響を与える可能性があります。その結果、「私たちは正しいことをしましたが、デザインチームが失敗しました!」といった発言が生まれることもあります。
プロダクトの規模が大きい場合でも、アイデアの創出から最終的な提供まで、すべての段階を担うことができるチームを構築することが重要です。
変化に対応できますか?
変化への対応は、アジャイルチームにとって欠かせない特性の一つです。アジャイルの核心価値には適応性が含まれており、それを具体的にどう実践するかが重要です。
例えば、チームがプロダクトを所有し、目標を設定していたとしても、状況の変化に関係なくその目標やロードマップに固執する場合、それは真にアジャイルとは言えません。この柔軟性の欠如は、価値提供を最大化する能力を阻害します。また、目標の変更に長く煩雑な承認プロセスが必要であれば、これもアジャイルの精神に反するものです。
多くの組織では、管理者が制御を保つために、チームや部門に締切やマイルストーンを設けることを要求します。しかし、こうした慣習は、チームに不必要なストレスや官僚主義を生み出し、最悪の場合、時間と予算の制約を守るために顧客価値を犠牲にすることにつながりかねません。真のアジャイルとは、計画段階だけでなくプロジェクト全体のライフサイクルを通じて柔軟に対応できることを意味します。
チーム内に信頼はありますか?また、信頼されていると感じますか?
信頼はアジャイル文化の基盤です。チームが互いを信頼している場合、全員が顧客に最大の価値を提供するために最善を尽くしているという前提で動きます。この相互尊重と信頼は、チームの生産性と士気を大幅に向上させます。
また、信頼が根付いた文化では、常時監視やマイクロマネジメントが不要になります。全員が真剣に取り組んでいると信じることで、詳細な進捗会議や報告が不要となり、エネルギーを目標設定、成果の測定、問題解決に集中させることができます。
継続的改善を追求していますか?
ビジネスやテクノロジーの世界は常に進化しています。一度革新的とされたプロセスがすぐに時代遅れになり、かつての業界リーダーのツールが時代遅れになることもあります。このようなダイナミックな環境で持続的な成功を収める鍵は、継続的改善です。真にアジャイルなチームは、常にプロセスやツールを評価し、効率と効果を高める方法を模索します。
たとえば、レトロスペクティブ(振り返り)といった手法は、継続的改善を促進するのに非常に効果的です。しかし、大事なのは特定の手法ではなく、改善を継続的かつ意図的に追求する姿勢です。方法は二次的なものであり、意図と行動こそが重要です。
これらの質問を通じて、チームのダイナミクスやプロセスを振り返ることは非常に意義深い経験となります。この投稿が、チームの成長への新しい視点を提供し、アジャイルの旅路を再評価する助けとなれば幸いです。
最終的な目標は「アジャイルであること」ではなく、アジャイルの原則を活用して効率性、効果、そして顧客に提供する価値を最大化することです。現在のアジャイル度を把握し、理想的な姿を思い描くことで、成長と継続的な改善への道筋を描けるようになります。この旅路を楽しみ、一歩一歩から学び、最終的なゴールである比類なき顧客価値の提供に集中しましょう。
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