完了の定義をわかりやすく説明する: アジャイルチームの必需品
- Masha Ostroumova, Enterprise Agile Coach
- 2023年5月25日
- 読了時間: 4分

アジャイルの旅を進める中で、「Definition of Done(DoD)」という言葉を聞いたことはありませんか?多くのアジャイルチームがこの概念に出会いますが、実際に採用しているチームはそれほど多くありません。
その理由はさまざまです。DoDの目的を十分に理解していない、Acceptance Criteria(受け入れ基準)と混同している、あるいは導入する時間がないといったことが挙げられます。このブログ記事では、DoDをわかりやすく解説し、それがチームにとってどれほど重要であるかをお伝えします。では、DoDの世界に飛び込み、その可能性を探ってみましょう!
Definition of Doneとは?
簡単に言うと、DoDとは、作業項目が「完全に完了した」と見なされるために満たすべき基準のリストです。「ほぼ完了」や「一応完成した」などの曖昧さを排除します。DoDの具体的な内容は、作業の性質によって異なりますが、類似の作業項目に対してほぼ標準化された形になることが一般的です。
例えば、ソフトウェア開発チームの場合、以下のようなDoDを決めることができます:
コードが本番環境にデプロイされている
単体テストカバレッジが95%以上
手動テストが完了している
プロダクトオーナーの承認がある
また、単体テストカバレッジを重視しないチームであれば、他の重要な基準をDoDに含めることも可能です。ここに「万能な解決策」はありません。
DoDはチェックリストのようなものです。これにより、重要な作業が漏れるのを防ぎつつ、未完成の作業項目が完了と見なされるのを防ぎます。
DoDを使用しないとどうなるのか?
チームがDoDを使用しない場合、作業項目が完了したとみなされる基準について暗黙の仮定が生じることがよくあります。例えば、ある人は「コードを書き終えたら完了」と考え、別の人は「すべてのテストが終わったら完了」と考えるかもしれません。そして別の人は「本番環境にデプロイされたら完了」と見なすこともあります。このような不一致が議論されずに放置されると、チーム内で問題や対立が発生する可能性があります。DoDを定めることで、「完了」の定義をチーム全体で統一することができます。
DoDに関するよくある誤解を解消する
1. 各作業項目ごとに作成しなければならず、時間がかかる
誤解です。DoDは一度作成すれば、ほとんどの作業項目に適用される共通のチェックリストです。作業の種類によって異なるDoDを設定することも可能ですが、できるだけシンプルに保つことが推奨されます。
2. 多くの官僚的な手続きが増える
誤解です。DoDを公式な「ゲートウェイ」として扱うのではなく、有用なセルフチェックツールとして活用しましょう。DoDは絶対的なものではなく、柔軟な指針として扱うべきです。
3. Acceptance Criteriaと同じもの
誤解です。Acceptance Criteriaは各作業項目ごとに固有であり、その項目に期待される内容を明確にするものです。一方、DoDは全体的な基準を示します。
4. ソフトウェアチーム専用のもの
誤解です。どのようなチームでもDoDの恩恵を受けることができます。タスクの種類に変動があったとしても、完了と見なすために必要な基準を設定することは可能です。
DoDを導入するメリット
1. 作業の範囲について共通認識を持てる
DoDは、チームが「作業の範囲に含まれるべきこと」を事前に合意するのに役立ちます。これにより、日常的な些細な議論を避け、チームの雰囲気を改善します。
2. 完了の判断基準を提供する
DoDは「いつ作業を完了と見なせるか」を明確にすることで、未完成の作業を残したまま次のタスクに進むのを防ぎます。
3. より正確な計画が可能になる
タスクを見積もる際、DoDを用いることで、作業に含まれる全ての要素を考慮し、より一貫性のある見積もりを提供できます。
4. 不測の事態を防ぐ
DoDを持つことで、チームはタスクの全体像を事前に把握し、予期せぬ遅延や問題を回避しやすくなります。
5. 価値の提供を確実にする
DoDは、作業項目が顧客やビジネスに価値を提供する段階まで進むことを保証します。
結論
DoDはアジャイルチームに多くのメリットをもたらす重要なツールです。チームメンバー間の共通理解を深め、誤解を減らし、計画や見積もりの精度を向上させるだけでなく、最終的には顧客とビジネスに価値を提供します。
DoDを活用することで、チームのコラボレーションを促進し、プロセスを合理化し、アジャイル移行の成功に貢献できるでしょう。
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