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ストーリー ポイントを紐解く: 今すぐ使用するべき5 つの理由


Three people collaborate in a modern office, focusing on paperwork. One has a coffee cup. A laptop is on the table, with a large window nearby.


ストーリーポイントという概念をご存じでしょうか?最近、アジャイルの世界で注目を集めているこのツールは、多くのチームにとってプロジェクト見積もりに欠かせない存在になりつつあります。でも、ストーリーポイントとは一体何なのか?そして、どのようにチームの役に立つのでしょうか?


この記事では、ストーリーポイントの概要を解説し、アジャイルツールキットに加えるべき理由を探ります。単なる流行語ではなく、作業見積もりを一新する可能性を秘めた実用的なアプローチです。



ストーリーポイントの基本概念


ストーリーポイントは、作業を見積もるユニークな方法で、単にタスク完了までの時間だけを考慮するものではありません。重要な3つの要素—時間複雑さ、そして不確実性—を考慮に入れています。例えば、「あと2kg痩せたい」といった個人的な目標を立てたことがあるなら、人がどれほど楽観的に時間を見積もりがちか理解できるはずです。これは仕事の場面でも同じで、大きなプロジェクトを小さなタスクに分けようとすると、必ずしも効率的に時間を使えるわけではありません。


アジャイルの世界では、期限やスケジュール以上に、顧客満足に焦点を当て、関係者全員が作業の範囲を理解できるようにすることを重視します。ガントチャートの詳細な作成に時間を割くのではなく、各作業項目の価値や優先順位についてオープンに議論することを目指しています。


これを実現するための方法が「相対見積もり」です。この方法では、異なる作業項目を比較し、「小」「中」「大」といった「バケット(分類)」に振り分けます。ご想像の通り、大きな作業項目ほど、その規模に関する不確実性が増します。


この「バケット」を具体的な形にするため、各バケットに数字を割り当てます。その際に使用されるのがフィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55...)です。なぜフィボナッチ数列なのか?それは、大きなタスクほど不確実性が増し、正確な見積もりが難しくなることを反映しているからです。数列の序盤では数値間の差が小さい一方で、後半では大きく広がります。これを簡略化したスケール(1, 2, 3, 5, 8, 13, 20, 40, 100)を使うことが一般的です。


ただし、これらの数字は時間や難易度を示すものではなく、あくまで「ラベル」に過ぎません。例えば、「小さな」作業項目は1、2、3のバケットに、「中くらいの」作業項目は5や8に、「大きな」作業項目は13、20、40、100に分類されます。ストーリーポイントの魅力は、この柔軟でありながら構造化された作業見積もりのアプローチにあります。



ストーリーポイントを活用するメリット


メリット#1: 有意義な会話を促進


ストーリーポイントの主な利点は、チーム内での有意義な会話を促進することです。チームがストーリーポイントを使って作業を見積もる際、数字のばらつきは作業範囲に対する意見の相違を示します。例えば、あるメンバーが13と見積もり、別のメンバーが3、残りが5とする場合、これは議論が必要な明確なサインです。


ストーリーポイントは、表面下に潜む問題—不十分なユーザーストーリー、不明瞭な「Ready/Doneの定義」、またはコミュニケーションギャップなど—を浮き彫りにし、それらを解決するきっかけを作ります。


私の経験では、問題が山積しているチームでストーリーポイントを早い段階で導入すると、大きな効果を発揮します。隠れた問題を明らかにし、建設的な解決に向けた道筋を示してくれます。



メリット#2: 時間だけにとらわれない見積もり


ストーリーポイントは、時間に加えて複雑さや不確実性を考慮した包括的な見積もりを可能にします。


単純なタスク(例: 壁のペンキ塗り)であれば、過去の経験から必要な時間を簡単に見積もることができます。しかし、複雑なタスクや不確実性が高いタスクでは正確な見積もりが難しくなります。


また、依存関係を含むタスクについても、ストーリーポイントはこれらの変数を加味して見積もりを行うのに役立ちます。



メリット#3: 作業者に依存しない見積もり


ストーリーポイントのユニークな特長は、作業者を考慮しない点です。これにより、タスクを事前に割り当てることなく見積もりを行えます。


ソフトウェア開発チームでは、シニアエンジニアが2時間で完了する作業が、ジュニアエンジニアには2日かかる場合があります。しかし、ストーリーポイントではこうした個人差を考慮せず、作業項目そのものを評価します。


チーム全体の生産量(ベロシティ)を追跡することで、個人の違いを平均化し、チーム全体の能力とパフォーマンスを反映します。


これにより、事前のタスク割り当てが不要になり、柔軟性が高まります。チームメンバーは自分が取り組みたい作業を選ぶことができ、緊急タスクも誰でも対応可能な環境を作り出します。



メリット#4: 細部への過度なこだわりを回避


ストーリーポイントを使用することで、詳細にこだわりすぎるリスクを回避できます。特に大きな作業項目では、見積もりのスケールが意図的に幅広く設定されており、正確性を求めすぎる必要がありません。もし詳細が求められる場合は、作業項目をさらに小さなタスクに分解する時間を設けることができますが、多くの場合、その必要はありません。


小さな作業項目を見積もる際でも、チームは迅速に判断を下すことが求められます。「これは1、2、3のどれに該当するか?」といった具合です。迷った場合は、より大きな数字に寄せるのが一般的です。このアプローチは、「見積もりは100%正確になることはない」という現実を認め、正確さではなく効率性に焦点を当てるものです。


ストーリーポイントを使うことで、範囲の調整に集中し、実際の作業に取り組むことができるため、不要なストレスが軽減され、効率が向上します。



メリット#5: タイムラインの予測と大規模タスクの見積もり


アジャイルでは柔軟性を重視し、厳密な作業計画や締め切りを避ける傾向がありますが、大規模な作業を見積もり、タイムラインを予測する必要がある場合もあります。ここでもストーリーポイントが役立ちます。


大規模プロジェクト内の各作業項目をストーリーポイントで見積もり、チームの平均ベロシティ(特定の期間内にチームが完了するストーリーポイントの数)で割ることで、比較的正確な予測を立てることが可能です。


例えば、チームのベロシティが週40ストーリーポイントで、新しいプロジェクトの見積もりが220ストーリーポイントの場合、プロジェクト完了には約6週間かかると予測できます。ただし、予期せぬ遅延や「サプライズ」を考慮し、6〜8週間と見積もるのが現実的でしょう。


ストーリーポイントは、大規模な見積もりにおいても簡単かつ効果的な手法を提供します。これもアジャイル環境におけるストーリーポイントの価値を示す一例です。



まとめ


ストーリーポイントによる見積もりは、アジャイルコーチとして私が特に重宝しているツールの1つです。採用が簡単で、使いやすく、さらにチームにとって楽しいプロセスになることが多いです。それ以上に、ストーリーポイントは問題解決の強力なツールであり、透明性を高め、コミュニケーションを改善し、範囲の理解を統一し、より正確な予測を可能にします。


チームで試してみてください。きっと後悔しないはずです!

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